【目次】
サービス業の本質はホスピタリティ
サービスは、基本のサービスと応用のサービスとに大別される。
基本のサービスとは、
①いつも絶やさぬ笑顔
②明るくテキパキとした態度と接客基本用語
の2つです。こんなことは、飲食業に従事している人なら誰でも知っていそうなことである。ところが、当たり前のことを当たり前にやるということが、実は以外と難しいことです。
たとえば、いつも絶やさぬ笑顔を全員で実践できているお店がどれくらいあるのか。
一応は接客基本用語を話し、動作はテキパキとしているが、まるで怒ったような顔をしていたりする。たくさんの人を使うのだから、なかにはそういう人がいるだろうし仕方がない。
たいていのお店は、そう言い訳するが、サービス業としてそんな弁解が通用するはずがない。
何ごとも基本が難しいというのは、基本にこそ、もっとも大切な要素のエッセンスが詰まっているからです。お客様に対していつも笑顔を絶やさずに、というのは、いわゆる愛想笑いの意味ではない。まず第一に、お客様に感謝の気持ちをあらわすこと。そのうえで、温かなおもてなしをするためなのです。
サービス業の本質は、ホスピタリティです。
ホスピタリティとはもともと、病気の人を手厚く看護する、ということから生まれた言葉だから、それをそのままサービスの基本はテクニックではなく、温かな真心なのだということを意味している。わが家に親戚知人を招いたときの気持ちでサービスしなさい。というのは、この温かいおもてなし精神をいっているのです。
アルバイトにプロ意識を持たせなさい。
つまり、基本のサービスとは働く人の心の問題であり、技にむずかしいことではない。ところが往々にして、従業員にこのおもてなしの心、感謝の心を教えず、接客用語や基本動作だけ教えてよしとしている飲食店がある。心よりも形にこだわってしまうのだ。
しかし、そういうお店では、その形がかえってマイナスに作用する。心のこもらない形ばかりの接客は、ロボットがサービスしているのと同じことです。極端にいえば、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」とテープが繰り返し、料理はベルトコンベアーで運ばれてくるようなものだ。これでどうして、お客様を感動させることができるでしょうか。
もちろん、接客基本用語と接客態度を教えることは大事なことである。そして実は、それが見苦しくないレベルにまで身につけさせるには、相当の訓練の積み重ねが必要です。
また、人間いつも笑顔でいることは、そう簡単なことではない。しかし、お客様の前に出る以上、内心どんな不愉快なことがあろうと、つねに明るく笑顔でなければならない。それが、サービスマンの役割だからだ。アルバイトであっても、給料をもらう以上はプロです。だから、アルバイトにもそういうプロ意識をもたせるように指導するのは店長の責任である。
プロ意識とはサービス精神のことです。サービスマンとしての経験をそれなりに積んで、応用編になってくればそれがわかりそうなものだが、実際は逆に、表層的なテクニックにばかり気にとられてしまうことが多い。
たとえば、妙に客あしらいがうまくなるとか、料理を運ぶ身のこなしがスマートだということが、ベテランサービスマンだと勘違いしやすい。
応用のサービスとは、状況に応じて素早く機転を働かせ、サービス精神を発揮できるレベルのことをいいます。接客用語など、経験を積んでいけば自然と身につきます。
しかし、それがたんなる反射行動では意味がない。とくに大型店の場合、こういう誤解が生まれやすい。ここにも、店長の従業員教育の大切さがあります。